2012年8月29日水曜日

矛盾を作る発問で思考を深める


『教育新聞』コラム・第4回目

「授業デザイン」2012年8月9日(木)

矛盾を作る発問で思考を深める
 
 

2012年7月16日月曜日

兵庫の歴史教育 第16号が発行されます

第15号を神戸大会で発行して早5年。その間、「兵庫歴教協50年のあゆみ」の発行を計画したものの頓挫!50年史の発行を一時凍結して、機関誌をやっと発行することができそうです。
 実はまだ編集中で、発行は千葉大会ギリギリですが、あと少しのところまで来ました。
 今号は、同じ大震災を経験した兵庫から東日本大震災と福島原発事故について、さまざまな論考を全国に発信することができそうです。
 皆さま、もう少しでできます。お楽しみに。

「教育新聞」連載コラム③「少しの工夫で授業が変わる」
今回は、47都道府県調べの実践を書きました。


会員の間森誉司さんから情報が届きました。

 広島市民間教育サークル会議・第35回教育基礎講座@6月16日(土)
6月16日(土)朝、姫路の自宅を出発し、土砂降りの雨の中を広島に向かいました。社会科の基礎講座の会場は、広島市東区民文化センター、開会は13時30分からでした。
 テーマを、あなたも社会科授業が上手くなる―切り口・発問・実物資料の工夫―と題してお話ししました。
 
 最初に、この講座に何を求めて参加されたかを、自己紹介を兼ねてお聞きしました。やはり「授業が上手くなる」に引かれた・・・というのが多く、次は「教材の工夫」について知りたい・・・と言うものでした。参加者も小学校教師と中学校の教師が半々で、新任や若い教師が数人参加されていました。また、育鵬社の教科書を採択している地域からの先生も2名参加しておられました。
講義は、途中の10分の休憩時間を入れて4時半までの3時間。
①写真と発問をどのように関連づけて、子どもの探求心を高めるか。
②発問により変わる子どもの思考と授業の深まり。
③「総合学習的」にならないための「中学年社会科」の授業の組み立て方。
④実物教材の活かし方と授業における効果。
⑤小学校の発達段階での授業内容と中学校段階での授業内容の違い。
⑥地域の人々と協力し、集団的に教材を創造することの大切さ。
などについて、パワーポイントを活用してお話ししました。
 また、最近では「定番」となっている「羽釜(実物)」も,自動車に乗せて登場させました。小学校から中学校まで、新任からベテランまでという参加者の顔ぶれのため、中学校でも生きる授業方法や切り口を紹介しよう・・・と考えて話しを進めました。
 後で主催者の広島歴教協・辻さんから次のような感想を頂きました。
―運営している側にとって、例年より参加者が多く若い人もいましたし、講座中の反応もよかったので、お願いしてよかったと何度も思いました。中学校の教員も多かったのですが、アンケートを読んでも反応はよかったです。
 「社会科の授業の切り口、正解が出てももう一つゆさぶる授業の醍醐味に触れました。目からウロコが何枚も落ちるとはこのことでした。時間があっという間に過ぎ、流れがすとんと落ち、残りで深めたいと学生の気持ちになりました。社会科が暗記科目とはもう言わせないと思いました」(50代女性・中学校)

 準備していた私の著書「地域学習指導ハンドブック」も、ほとんどの方が購入して下さり、充実した講座になりました。
その後、土砂降りの雨の中を、鞆の浦に向かい、夜は鞆の浦の「欧風亭」に宿泊。翌日は、晴れ渡った鞆の浦の街を散策しました。鞆の浦湾のバイパス架橋が問題になっているのですが、帰宅した翌日に広島県知事が「架橋撤回」を表明し、とてもタイムリーな旅になりました。

2012年6月17日日曜日

小学校5年生『工業と情報通信業』の学習

和歌山大学教育学部「小学校・社会」第10回講義(2012年6月12日)
-小学校5年生『工業と情報通信業』の学習-
5年生社会科は、学習内容が実に多い。
農業・水産業分野もそうだが、工業・情報通信業の学習でも盛りだくさんだ。
教科書を記述通り進めていては、読んでノートにまとめるだけで終わってしまう。
これでは、社会科は面白くないし、実生活と大きく繋がっているにも拘わらず、生活と結合して考えることができる子どもが育たない。
そこで、今回も幾つかの具体的な実践例を紹介した。
講義後の感想カードで、最も学生達の心に強く残り「教師になったら、ぜひ実践したい!」と回答しているものを紹介しよう。
①西川満氏の実践から、画用紙で作った「タローラ」の型紙で学ぶ「バーチャル自動車工場」の学習である。
私は、三菱やダイハツの自動車工場の見学に行けるときは、その機会を最大限に活かし、
もし、行けないときは、校区内の身近なモータース(自動車修理屋さん)の見学を通して、自動車産業を学ぶようにしている。
特に、後者のモータースは、自動車産業と消費者との“接点”である。
そのため、子どもや家族にとっては、最も身近な場所である。
ここを切り口として「自動車産業」の学習を組み立てると、子ども達の生活と工業の具体的な結びつきが見えてくる。
その自動車産業学習に欠かせないのが、西川満氏考案の「タローラ」による“工場内分業”を学ぶ方法である。
画用紙に印刷された「自動車の車体」と「部品」、この部品を切り抜いて、糊で車体に貼り付けていく作業をする。
1度目は「個人企業」として、塗装(色塗り)までの全てを自分1人でやり、ストップウオッチで計る。
2度目は、学級に「自動車工場」をつくり、部品を供給する者と「組み立てライン」を担当する者に分けるのである。
そして、並べた机の真ん中を流れる「紙の車体」に、順番に「部品」を貼り付けていき「自動車」を完成させる。
この双方で「1台の自動車が完成する時間」を比べ、大量生産と価格と労働について話し合うのである。
―これまで、幾度となく自動車工場を見学し、学習を積み重ねてきたが、この西川満実践を越える教材は見あたらない。
本当に、素晴らしい「タローラ」づくりを中心にすえたアイデア実践であると思う。
②もう一つは「メデイア・リテラシー」を考える実践である。(間森の考案による)
別紙のような「放送原稿」を元に、2種類の「ニュースA]「ニュースB]を編集する。
ビデオカメラで撮影し、2台のデッキを繋いで「つなぎどり」により編集するのである。
もちろん、最近では「ライブムービー・メーカー」を使い、デジカメで撮影した動画により編集も可能だ。
この映像の元になる画像は、全て小学校の昼休みに収録する。
運動場の画像は、「A=多くの子どもが遊んでいる場面」と「B=あまり遊んでいない場所」の2画面を収録する。
そして、昼休みの教室は、「C=だれも残っていない教室」と「D=多くの子どもが残っている教室」を収録する。
この4つの画像を、A+C  B+D とを組み合わせ、よく似たナレーションを入れる。
そして、「決まりをまもる活気ある学校」と「決まりが守れない元気のない学校」の2種類のイメージに編集するのである。
この2つのニュースを視聴させ、それぞれの感想を発表させる。同じ学校なのに、なぜ真反対のイメージになるのかを考えさせていく。
最後に「同じ昼休みに撮った画像を使い、組み合わせを変えました」と意図的に編集したことを,発表する。
このことで、「情報は操作できる」ことに子ども達は気づいていく。(大学生もみごとだまされたが・・・。)
2011年3月の「東日本大震災」以後の「原発報道」なども取り上げ、テレビの報道が「事実でない」ことに気づかせることもできる。(板書の写真)
以上、講義の中から学生にとり印象が深かったものを取り上げて見ました。

間 森 誉 司 Mamori Takashi
和歌山大学教育学部講師(非常勤)

2012年6月10日日曜日

少しの工夫で授業が変わる 第2回

「教育新聞」の第2回連載記事を紹介します。
“授業デザイン”欄「少しの工夫で授業が変わる」
今回は小学校5年生、産業学習として「有田みかんを育てる人々」を題材に授業を組み立てました。

間 森 誉 司 Mamori Takashi
和歌山大学教育学部講師(非常勤)
<URL> http://www2.117.ne.jp/~mamori/

「日本の農業(漁業)学習のねらい」5年生産業学習をどう教えるか

「小学校・社会」第9回講義(2012年6月5日)の報告です。
今回のテーマは「日本の農業(漁業)学習のねらい」5年生産業学習をどう教えるか―でした。
①実物の小麦や稲穂を教室に持ち込んでスケッチ!
兵庫県たつの市の近郊農家では、素麺と醤油の原料の「国産化率」を高めるために、「小麦」を栽培しています。
今回は、その農家に一声かけて、小麦を数株刈り取らせて頂きました。
(稲穂は、昨秋から準備していたのですが、軒先に干していて雀に食べられてしまいました。)
スケッチからの“気づき”を学生に発表してもらう。(写真1,小麦のスケッチ)
「初めて見た。」「小麦は白い粉のイメージしか無かった。」「小麦を初めてじっくりと見た。」
「意外と針のような部分がとがっていた。」「小学校の教師として知っておくべき基礎知識だ。」など,初めての小麦との出会いは“好評”でした。
②「小麦の種類」を写真で紹介した後、小麦の生産量、輸入量、自給率など、日本の小麦生産の「現状」を解説しました。
かつて日本の農村では、裏作に「小麦」を生産し、その刈り取りが終わってから稲を田植えする「二毛作」を行っていたこと、
近年、少しずつであるが「麦の自給率」を高める努力がなされていることを話しました。

②稲・藁・籾・籾殻・ぬか・玄米・白米の違いが、わかりますか?
例年なら、ここで稲穂(実物)のスケッチをして、この違いを説明します。(今回は雀の犠牲になりスライドで)
農業学習をする上で、この違いが分かることは「社会科の基礎基本」だと思うからです。
「藁」も知らないで「わらじ」づくりもないし、「ぬか」を知らずに「ぬかみそ」もなし、「玄米」を知らずに「玄米茶」もないでしょう。
以上の「小麦」と「稲穂」の実物紹介は、農業学習の講義では、学生から毎回好評です。
稲穂は、小学生時代に体験的に見ているが、「小麦」は、初体験という学生が、70~80%程度いるのです。
③「日本の農業の現状」をどう教えるのかが、この講義の課題です。
小学校の教科書では、「近代的な農法」を取り入れている典型例が紹介されており、日本の農業の実態をリアルに学べるとは言い難い内容です。
でも、その教科書や社会科資料集などを活かしながら、体験的な学習・見学学習を取り入れることにより、「日本の農業のすがた」をつかませるようにすることが大切です。
そのために、農協や農家、営農組合の協力を得ながら「農業体験=稲刈りや田植え」などを体験することが,子どもの関心を高める上でとても大切です。
そして、厳しい中でも農業に携わっている農家の人々の「労働と生産」の姿に接することで、日本の農業の“現状”に眼を向ける授業を組み立てることができる意義を説きました。
また「自給率」の現状を話し合い、一方で政府が進めようとしているTPPについても、教師として日本国民として関心と「自分の見解」を持つことの意味を強調しました。
④農業学習や漁業学習は「スーパーマーケット見学」から拡がり、深めることができる。
スーパーの野菜売り場(果物)や魚・水産物売り場の見学から、日本の農業の現状や外国との関係、漁業の現状と輸入のようす等を学ぶことができることを取り上げました。
また、その見学を活かした授業の作り方や板書のまとめ方も、実際に授業を記録したスライドを紹介しながら進めました。
5年生の社会科は、農業・工業・情報通信業・日本の地理など学習内容が多く、よほど工夫を市内と「教科書を読んでまとめた」的な学習で終わりです。
そして、現実には「知識理解」「事柄の暗記」に授業がなってしまい、日本の農業の現状と問題点、農業で働く人々や消費者の願いを理解しないままの学習に終わってしまいがちです。
たった一つの稲穂や小麦の穂、バケツ稲の田植え、そしてスーパーでの実物との出会い・・・・工夫を重ねれば楽しい生き生きとした授業が作れることを紹介しました。
大学の教室前面に提示した小麦の穂、教室が「麦畑」に変えることができました。
(写真2,教室風景)

間 森 誉 司 Mamori Takashi
和歌山大学教育学部講師(非常勤)
<URL> http://www2.117.ne.jp/~mamori/